『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』は日本軍の意思決定について考察、批判した名著ですが、桂 幹氏が著した #『日本の電機産業はなぜ凋落したのか』 はまさに平成・令和の日本企業の「失敗の本質」を衝いています。
章立ても巧みで最初に「誤認」、「慢心」、「困窮」、「半端」、「欠落」という五つの罪を挙げてそれぞれの罪を、TDK在社時の企業内部の雰囲気、意思決定、事業撤退に至るプロセス、エピソードを通じて生々しく著しています。さらにご尊父はシャープの副社長を勤められた方ということもあって、親子間で実体験を通じて語られる企業論、組織論、リーダー論は血が通い、痛みをともなったものです。ここが経営コンサルタントが理論ベースで書くビジネス本と一線を画す部分でありこの本の読み応えがあるところです。
失われた30年と連呼するばかりでこの国の失敗の本質をしっかり議論をして見極めなければこれから30年、いや100年経っても日本経済は浮上しないでしょう。
会議の場の雰囲気に流されず、気になることはそれが完全に解消されるまで発言し続けるということを当たり前の風土にしていかなければ失敗は永遠に繰り返すことになりそうです。
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- この本は企業版『失敗の本質』だ!『日本の電気産業はなぜ凋落したのか』(桂 幹著 集英社新書)
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- この本は企業版『失敗の本質』だ!『日本の電気産業はなぜ凋落したのか』(桂 幹著 集英社新書)
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