異次元の少子高齢化対策をするならば、まず強引な「転勤」をやめさせよう!

#少子高齢化対策 #人口減少 #転勤

グラフ出典:https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/s1_1_1.html

“65歳以上人口のうち、65~74歳人口は「団塊の世代」が高齢期に入った後に平成28(2016)年の1,768万人でピークを迎える。その後は、令和10(2028)年まで減少傾向となるが再び増加に転じ、令和23(2041)年の1,715万人に至った後、減少に転じると推計されている。一方、75歳以上人口は、令和36(2054)年まで増加傾向が続くものと見込まれている。”

グラフとイタリックの文章は内閣府ホームページの『令和2年版高齢化白書』全体版からの抜粋です。これを見る限り高齢者人口は2040年頃から減少していきます。そして注目したいのがグラフの▲緑の線の推移です。これは高齢者一人を支える労働生産人口の推移を表しているわけですが1990年(計算しやすくてバブルが崩壊した頃ですが)には1人の高齢者を5.8人で支えていたわけですが、現在2023年に一番近い2020年ではなんと2.0人!33年前から高齢者を支える人口が約3分の1にまで減ってしまったわけです。働けど働けど手取り収入が目減りするのも無理は無かったと思います。で、今から33年後に近い2055年がどんな高齢者社会の地獄絵図かと思ってみてみると…おや1.4人?3割減くらいで済むシナリオになっています。(こういうデータが内閣府のホームページに掲載されているにもかかわらず、まるで差し迫った緊急事態であるかのように少子高齢化していきますって官僚の人たちは進言しているのかな?ケツにクリームを塗ってこいなんていう下品な言葉は使いませんがちゃんと将来のデータを見てね。)2040年となると団塊世代も90歳を超えてきますから2045年をピークに2065年まで高齢者人口もじりじりと減っていくようです。

そう考えると今から「産めよ増やせよ」と異次元の少子高齢化対策を打つタイミングはもう逸してしまっていることがわかります。おそらく40年くらい。確かに人口増は好景気につながると言われていますがそれは過去の経済学での労働集約的な産業構造だったらそうかもしれません。しかし限界費用が限りなくゼロに近づくGAFAMの世界に成り立つかどうかは疑問です。(今や日本は先進国ではないという話ですから「産めよ増やせよ」が効果はあるかもしれませが…)

本当に少子化対策によって将来の労働生産人口を増やしたいのであれば、医療や教育費の無償化など経済的な対策はある程度効果はあるかもしれませんが、「産みにくさ」、「育てにくさ」となっている根本的な制度や慣習にも手を着ける必要があると考えます。
その一つが「転勤」という多くの企業の制度です。

松山市に移住してきていくつかの職場に勤務して感じたことは、3人、4人と子供を持つ働く女性が割合として多いということです。
女性たちと雑談する中で、なるほどなと思ったのは同居ではないとしても比較的近くの市内あるいは近郊に母親がいて日常的に娘、孫の面倒を見る環境があるということでした。


「毒親」から独立したいという人であれば大学進学や転勤は良い機会となりますが、子供を産んでしばらくは24時間待機モードで夜泣きや病気との闘いが続くわけですから近くに母親の支援があればこれほど心強いことはありません。まして3人目、4人目ともなると。


企業経営者は「良い経験になるから」と総合職にはマストで付いてくる「転勤」ですが、果たしてどれほどの有益な経験を得られるのでしょうか?

「出産」や「子育て」という場面での母娘の関係を物理的に引き離し、いつ家を買うべきかという目算を狂わせ、子供の進学をどうするか?親の介護をどうするかで悩ませる、将来を不確定にする「転勤」。

「本人が希望する場合を除いて原則転勤はない」ということを基本として、「本人が望まない転勤」を規制あるいは課税対象とすれば出生率に変化が出ると思うのですがいかがでしょう?もちろん転勤を断った際に降格など懲罰的処遇を企業側がすることも禁じるわけです。

お金のバラまきではなく、産みたい、育てたいという気持ちを萎えさせている要因を一つ一つつぶしていくべきです。国として企業として。

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