十年前に亡くなった父の夢を見た。
「サンダーバード展」に行ってみると実際の模型が動いて撮影しているようすを見ることができるようになっていた。フォークリフトのパレットの下に挟まってしまった人を救出するために、ジェットモグラ号をバックさせて台車の後部のバルブから油圧ホースをフォークリフトに接続。油圧漏れしたフォークをジャッキアップして救出するという本編にはないストーリーのものだった。リアルなジェットモグラ号の台車の動きに父は驚き、すごいな、と夢の中で屈託なく笑っていた。父の夢は何度か見たが笑顔は初めて見たように思う。
父は30年以上フォークリフトメーカーの技術畑で定年まで働いた。癌で亡くなる一週間ほど前に写真(もちろん遺影のことだ)を撮って欲しいというのでデジタルカメラを携え実家に行った。自然光で撮るためにベランダ近くに椅子を置き、白バックにするために椅子の後ろに襖をたてかけて撮影。背広、ワイシャツ、ネクタイ姿になった父は少し慌てたように会社のロゴマークのついたネクタイピンを取り出し大事そうに胸につけた。だが、私がしっかり葬儀屋に指示しなかったために、ネクタイピンは遺影からはトリミングされてしまった… so, it goes
私には悲しいことが続いた年だが、父の笑顔はこっちのことは心配するな、というサインであって欲しい。
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